【元界天武曲】第二話

髭を剃り終わった彼は、続いてスーツに着替え始める。
会社の社則でスーツについての決まりはないが、木村は派手なスーツを好んで着るタイプではない。
今日もごく一般的な白のシャツに着替え、ダークグレーのスーツを羽織り、玄関へと向かっていった。



朝飯は家では取らない。会社までの道のりか、コンビニで買ってオフィスで食べるのが日課だ。
一人暮らしの男の生活習慣なんてそんなものだろう。そう木村は思っていた。
駅に向かういつもの道を歩いている際、コンビニに立ち寄ろうか考えた。昨日の酔いが若干残っている気がしたからだ。
酔い覚ましを買いにコンビニに立ち寄ろうかとガラス越しにコンビニの中を伺う。しかし、雑誌コーナーがサラリーマンで混雑してるのを見て立ち寄るのをやめた。「いい年した大人が朝からコンビニで立ち読みか、、」雑誌コーナーにスーツ姿の人間が群がっているのは、傍から見ても景観のいいものではない。その光景を見たとき、例え買うものが雑誌でなくてもコンビニに立ち寄る気が失せる。
雑誌コーナーと自分の間にある一枚のガラス、そこにため息をしている自分が映る。
「仕方ない。電車に乗って会社付近のコンビニで買うか。」
そう思ってガラスから目を目を離そうとしたその時、ガラスに映った自分はまだこちらを見つめているような気がした。
「!?」
もう一度、ガラスに目をやる。向こうの自分と目があう。木村がい妙な感覚に襲われていると、ガラス越しの雑誌コーナーの一人と目があった。怪訝そうにこちらを見つめている。木村は気まずそうにしながらそそくさとその場を去った。

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